能登牛(石川県)
能登牛の特徴
能登牛は石川県内において肥育されるブランド和牛の総称です。
能登牛の定義としては、血統が明確である黒毛和種だということに加えて、石川県内で最後に肥育されなおかつその肥育期間が最も長く、そして枝肉の格付けがA3ランク以上もしくはB3ランク以上のものであるとされています。ただ、これらの基準を満たしているだけではなく、能登銘柄推進協議会という専門機関の認可を受けて初めて能登牛のブランド名を使用できるようになります。
能登牛の最たる特徴としては、その枝肉における脂身の質です。能登牛は但馬牛の系統を引いていることから、神戸牛などと同じように脂肪のつきが良いという特徴があります。また、和牛はオレイン酸などの不飽和脂肪酸が多く含まれているものほど口どけが良く、美味であるとされており、能登牛はその他の和牛に比べてこのオレイン酸が顕著に多く含まれていますので、その食感に定評があります。
ただ、能登牛の生産は今現在においても年間に500頭半ばほどしかできず、それほど出荷ができない希少な牛肉であるとされています。それゆえに、能登牛が流通している地域としては石川県内がほとんどであり、それ以外の地域ではあまり食べることができません。
能登牛の歴史
能登地域における牛の飼育の歴史は、過去に遡ること寛永3年頃、前田利常という藩主が製塩業や炭坑業を行うにあたって役牛を導入したことにはじまります。それから数年経ち、明治25年に能登地域にブランド和牛の元となる血統付きの和牛が入荷されました。その和牛は、世界的にも有名な神戸牛のもととなる但馬地域から導入されたこともあり、その品質は高いものでした。
その後、島根県の種牛を導入し、能登地域独自で交配を重ねることによって、肉質が良いとともに肉付きの度合いも強いという現在の能登牛の品質を作り出したのです。特にブランド和牛の必須条件である霜降りが枝肉にできるようになったのは、昭和9年頃からのことだったようです。
その後、平成19年に行われた全国和牛能力共進会においてその脂身が高い評価を受け、脂肪の質賞を受賞するにまで至っています。