国産牛と和牛の違い
スーパーやお肉屋さんに行くと色々な種類のお肉が並んでいます。その中でも牛肉は肉の中の王様で、他の肉に比べると値段が張ることが多く、代わりに豚肉や鶏肉で代用した、なんて経験をお持ちの方もいらっしゃるのはないでしょうか。
現在市場に出回っている牛肉は、和牛、国産牛そして輸入牛の3種類です。輸入牛はよく牛丼チェーン店などで使われていたり、スーパーでも比較的安価な値段で購入できたりするのでお馴染みだと思います。
では和牛と国産牛についてですが、この違いについてはご存じではない方が多いのはないでしょうか。もしくは、似て非なるものであるという認識はあっても、どちらがどう違うのか、ということに関してはうまく説明できない方が多いかもしれません。
3つの「和牛」の基準
まず和牛についてですが、明治時代以前からの在来牛をもとに、外国種などと交配種を繰り返して改良された食肉専用の家畜牛のことをいいます。その種類は限定されていて、もともとは1953年に認定された黒毛和種、褐毛和種(あかげわしゅ)、無角和種(むかくわしゅ)の3種類でしたが、1954年に、日本短角種(にほんたんかくしゅ)が追加され4種類になりました。この4種類、及び4品種間の交雑種を「和牛」と呼びます。
この中でも黒毛和種の数が一番多く、日本の和牛飼育量のうち9割を黒毛和種が占めます。和牛は手の込んだ飼育方法を必要とするため大量生産が難しいのと、他の一般牛と比べて食用牛になるまでの時間がかかることなどから、値段が高価になります。
スーパーのラベルなどに「和牛」と表示するためには、3つの条件があります。ひとつ目は食肉公正競争規約で「和牛」と認められている品種(先に述べた4種)に該当すること、ふたつ目は日本で産まれて飼育された牛であること、みっつ目は、先に述べたふたつの条件が、牛トレーサビリティ制度で確認できることです。牛トレーサビリティ制度とは、日本国内で産まれた牛すべてに識別番号を設け、出身地や生年月日などの細かい情報を、生産、流通、消費の段階で管理、記録し、インターネット上でこれらの情報を識別番号によって閲覧できる状態にあることをいいます。このみっつを満たして初めて「和牛」と表記できるのです。
和牛以外が「国産牛」
一方、国産牛についてですが、「和牛」の4種類には含まれません。上記4品種以外で、日本国内で産まれて飼育された、もしくは外国で産まれて飼育された経験があったとしても、日本での飼育期間が3か月以上あって一番長ければ国産牛と表記されます。
国産牛は主に乳牛であるホルスタインの雄牛や廃乳した雌牛、そしてホルスタインと肉用牛を掛け合わせたF1と呼ばれる交雑種などが殆どです。
とっても貴重な黒毛和種
このように、和牛と国産牛は区別されます。そして、実際に流通している国産牛のうち、「和牛」と呼べるものは半数にも満たないのです。
さらに言えば、「和牛」のなかでももっともおいしいとされる黒毛和種は、全体の流通量の15%ほどしかありません。このことからも黒毛和種がいかに貴重であるかがわかります。