近江牛(滋賀県)
近江牛の特徴
近江牛は滋賀県の畜産農家によって滋賀県内で飼育、育成され、なおかつ一定の条件を満たした和牛の総称です。
牛の品種は黒毛和種であり、基本的には兵庫県内で盛んに飼育されている但馬牛を素牛としています。ただ、近江牛は現在では素牛が但馬牛でなければいけないという規定は無くなっていますので、滋賀県内で生育された品質の良い牛肉であれば但馬牛ではなかったとしても近江牛のブランドで流通しています。
それゆえ、以上の条件を満たしている和牛であればどのような品質の枝肉であっても近江牛の名称を名乗ることが可能です。そのような背景から、下位の肉質のものとの区別をする目的でA4ランクまたはB4ランク以上の品質が保証された近江牛は認定近江牛という特別な名称が用いられる場合があります。
近江牛は基本的に素牛が但馬牛である点からも、神戸牛や松阪牛と同じように霜降り肉であることが特徴的です。霜降りの具合としては決めが細やかであり、脂身が口の中で溶けやすい性質であるので、その食感と風味が評価されています。
また、近江牛が生産される滋賀県は農作が盛んに行われており質の良い飼料の調達が容易で気候風土にも恵まれていることから、牛がストレスを感じず育つことができる環境であるのもその肉質と風味に好影響を与えています。
近江牛の歴史
近江牛の歴史はその他の和牛に比べてかなり長く、400年以上の歴史を持っています。特にその存在が確認できる最も古い史実まで遡れば江戸時代にまで至り、かの豊臣秀吉が他の大名に振る舞ったとして知られているものです。
滋賀県内で生育される牛肉が全国に盛んに流通されはじめたのが明治のことであり、その流通とともに近江牛という名称も全国に認知されるようになってきました。昭和初期には全国の和牛の品質を競り合う共進会という大会で優等3位という高い成績を残したことでも、その認知度は高まりました。
近年においては、近江牛の定義を統一化したり、高品質な枝肉を認定化したりするなど、その品質を高く保つための働きが盛んに行われています。